Reading Journal

読書の記録や雑記など。ネタバレ含みます。

フィフティ・シェイズ・ダーカー

 

2013年2月26日発刊

著者 E.L.ジェイムズ(訳者 池田真紀子)

発行所 早川書房

 

グレイの元を去ったアナスタシアは、彼のいない日々には耐えきれず再び彼の元に戻る。二人の関係は親密になっていくが、グレイの過去の女性の存在が浮かび上がり…

 

シリーズ2作目

こちらは前回紹介しました「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の続編です。

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映画化された前作に続き、こちらも映画化の準備が進められているんだとか。アメリカでは2017年2月の公開予定になっているようです。日本での公開も楽しみですね。

2015年6月に文庫版(上中下巻)が出ていたので、そちらを買って読みました。

 

前作との比較

前作に比べて、キュンキュン度は少し減っている感じです。というのもグレイの大金持ちっぷりにも慣れてきて、もうそれが普通というか「ああどうせプライベートジェットでしょ」みたいな感じになってきています(プライベートジェットが出てきたかどうかは定かではない)。

今作では、そういった外見のきらびやかさよりもグレイの持つ内面の世界がよく描かれていて、より掘り下げた内容になっていました。そしてアナスタシアのキャラクターも確立され、精神的に成長しようとするグレイを懸命にサポートするアナスタシアの姿が「芯のある強い女性」という感じで描かれていました。
精神科医ドクター・フリンも登場しますしグレイがこれまで築いてきた女性関係、というかサブミッシブとの関係のことも出てきます。

そして相変わらずのジェットコースターぶり。いろいろなことが目白押しでハラハラ・ドキドキする展開たっぷりでした。この「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」「フィフティ・シェイズ・ダーカー」の2作って、たった3ヶ月くらいの出来事だったはずなんですけど、本当に目が回るような忙しさです。

 

グレイの内面世界

今回より深く取り上げられたグレイの内的世界ですが、彼の過去のトラウマや生い立ちのこと少しではありますが知れて嬉しかった。グレイという謎めいた人のヴェールが一枚ずつ剥がされていくような感じでした。

でも、グレイの悲惨な過去の描写等が並ぶ中、このドクター・フリンの言葉の重みがよく伝わってきました。

不幸な生い立ちを嘆くことはできます。誰が、どうやって、なぜといった要素を永遠に分析しつづけることもできます。一方で、前を向いて、これからどう生きていきたいか自分で決めることもできるんですよ。

これは「過去を掘り下げるのではなく、未来に目を向けて生き方を模索していく」という新しい精神治療方法の紹介もあってのセンテンスだと思うんですけど、この言葉って何か悩んでいたり精神的なつらさを抱えている人にとってはすごく頭をぶん殴られるほどの意味を持つとおもうんです。というか、私にとってはそうでした。

そして今作でグレイはかなり精神的に成長します。これまで支配することでしか女性との関係を築けなかったグレイが、アナスタシアのために(というかアナスタシアの影響で?)その関係を捨て、愛を交わす関係を求めるのです。サブミッシブとドミナントではなく恋人になるわけですよ。これには結構びっくり。

 

好きなセンテンス

「アナスタシア、私の新しい座右の銘はこうだ、”勝てそうにない相手なら、いっそ仲間になってしまえ”」 

「走る前に、まず歩く練習をしなくてはならない」

 

まとめ

前作に引き続き、ドキドキ・キュンキュンする場面もあり、ドキドキ・ハラハラする展開もあり、な作品でした。前作に比べてグレイの内的世界が取り上げられており、グレイの精神的な成長をサポートするアナスタシアがなかなか素敵です。

相変わらず性描写は多いのでそういうのが苦手な人にはとことんダメだとは思いますが、ただのポルノ小説ではない一つの成長物語になっていますので前作よりも楽しめると思います。

ミセス・ロビンソンとのことが微妙な感じで終わりましたけど、次作でまた取り上げられるのかな?ってそれだけ気になっています。

クリスチャン・グレイが気になる人、二人のその後が気になる人、フィフティ・シェイズシリーズにハマりそうな人にオススメ。前作を飛ばしてこれを読むよりは、きちんと前作から読むのがオススメです。

 

 

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